栃木建築社

〈建築知識〉「石を積む人」

  • Staff blog
〈建築知識〉「石を積む人」

こんにちは。

営業部の小柴です。


ある旅人が荒野を歩いていると、強い日差しのもと、黙々と石を積んでいる人がいました。

旅人は気になって尋ねてみました。

  旅人:「あなたは何をしているのですか?」

A:「見ればわかるだろ。石を積んでいるんだよ。こんな暑い中、1日中ずっと石を積まされているんだよ。汗は止まらないし、手は傷だらけになって、仕事とはいえ、たまったもんじゃないよ。」

旅人はお礼を言うとまた荒野を歩き始めました。しばらく荒野を歩くと、同じように石を積んでいる人を見かけました。旅人はその人にも同じことを尋ねてみました。

  旅人:「あなたは何をしているのですか?」

B:「ああ、これはね、家を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。今はまだ壁の一部しかできていないけど、ここにある石が全部積み上がる頃にはそれは立派な家が建つよ。そりゃきついけど、これで家族みんなが食べていけるんだから、大変だなんて言ったらバチが当たるよな」

旅人は、その立派な家を少し見てみたい気持ちになりましたが、まだ旅の途中であることを思い出し、荒野を進むことに決めました。

さらにしばらく荒野を進むと、先ほどの2人と同じように、また石を積んでいる人を見かけました。旅人はその人にも同じことを尋ねてみることにしました。

  旅人:「あなたは何をしているのですか?」

C:「ああ、僕はね、ある家族のしあわせを作っているんだよ。これからここには小さいけどすごくオシャレな家が建つんだ。そこには6人の家族が住むんだけど、そこでその家族が笑いながら暮らす姿を想像すると、こっちまでしあわせな気分になっちゃうよね。今はなにもないこの場所がさ、僕が石を積むことで、家族のしあわせを作り出せるんだからさ。その光景を想像すると楽しくて仕方ないよ!」

  旅人は、この若者の仕事を邪魔してはいけないと、笑顔で挨拶をすませ、足早にその場を後にしました。